新雪の浅間山

 

20061112() 雪後晴

 長野新幹線の佐久平駅から小諸経由の高峰温泉行きバスに乗る。前夜からの思わぬ雪で車坂峠は真っ白、高峰高原ホテルで他の登山者とともに天気の回復を待つ。待つこと1時間半、天気の変化がないためあきらめる登山者も出る。様子を見に外へ出てみると、峠からマイカー登山者らしき踏み跡がついている。行けるところまでと思い、出発して踏み跡をたどる。新雪にたじろいだ、いくつかの先行パーティが引き返してきた。1240分に噴火非難用シェルターに着き、ここで昼食を取る。

ここから先の踏み跡は、先行者1人のみとなった。トーミの頭で先行の若い登山者に出会い、挨拶を交わす。彼は蛇骨岳までラッセルし、引き返してきたそうだ。浅間山山頂は雲の中で何も見えず残念だったが、ここで最後のチャンスを待っているとのこと。一旦別れ、私は黒斑山へ向かった。黒斑山頂には標高2404mの標識が立っていた。すぐそばにアンテナが立ち、24時間カメラや測定器が浅間山の噴火を無人監視していた。

トーミの頭で再びあの若者と出会った。と、ここで突然雲が取れだし、青空が見えてきた。振り返ると新雪の黒斑山山頂の上空は青空だ。そしてついに現れた!浅間山の白い裾野と黒いヒダ、どデカい!!とうとう山頂も姿を現し、噴煙が南方向に激しく流れて見える。二人で歓声をあげ、写真を取りまくる。しかしこれは一瞬の出来事だった。下山途中、槍ケ鞘のピークで振り返り、再び雲のベールにつつまれた浅間山山頂にお別れをした。結局この日に山頂を拝めたのは、二人だけだった。

15時過ぎに車坂峠に無事下山した。余裕があれば峠下の高峰温泉で風呂につかるところであるが、東京へ帰るため本数の少ないバスに乗った。峠を下るとすっかり青空が広がり、浅間山の中腹は一面に紅葉のカラマツの森だった。

(タイム)佐久平8:40−高峰高原ホテル9:5511:25−シェルター12:40−トーミの13:10−黒斑山13:35−トーミの頭14:00−車坂峠15:0515:50−佐久平17:00

感想信越・上越の山は、昔は上野から夜行列車に乗り、駅で寝て早朝のバスで登山口へ入ったものだ。今は朝に東京駅から新幹線に乗れば1時間あまりで着き、新幹線駅から登山口までバスが接続している。今や信越・上越は東京から日帰りの山域となっており、時代の変遷を実感した山行であった。