紅葉の大雪山

 

 個人山行で9月4日()に北海道の大雪山に登ってきた。旭岳温泉を起点に旭岳、間宮岳、北鎮岳、黒岳と縦走し、層雲峡へ下った。すばらしい天気に恵まれた山行だった。8月の白山登山は雨でさんざんだった分、その喜びはひとしおであった。

 前泊した大雪山山荘の女将から「山はそろそろ初冠雪の時期で、紅葉がきれいだよ。」と言われて期待は高まる。登山客約40人とともに、朝6時の始発の旭岳ロープウェイに乗る。姿見池の周囲は草が紅葉し、緑のハイマツとのコントラストが美しい。一方で地獄谷の噴煙がゴウゴウと音を立てる。旭岳への急登は風が地獄谷から吹き上げ、硫黄の臭いが続くがまんだ。8合目を過ぎると臭いも無くなってきた。山頂からは、雲の間に白雲岳やトムラウシ方面が顔を出す。風が冷たいので登山者も次々に入れ替わり、私も早々に立ち去ることにする。

 縦走路の急坂を慎重に下りきると、なだらかな平原状となり周囲の景色を楽しみながら、分岐点のある間宮岳へと向かう。来た道を振り返るとドーム状の旭岳が巨大に聳え、登山道は白雲岳のさらに奥へと続く。山麓はナナカマドの赤とハイマツのコントラストで、美しい縞模様を作る。空は青く、すっかりルンルン気分だ。

 間宮岳に到着すると風景は一変する。大雪山系第2の高峰、北鎮岳が初めて全容を見せた。右に凌雲岳、左に比布岳を従えて聳える。正面の御鉢平は巨大な火口跡で、中心に温泉が吹き出し、斜面がナナカマドの紅葉に覆われる。間宮岳でトムラウシへの縦走路と分かれ、登山道は御鉢平を時計方向に廻るように進む。中岳を越えた分岐で、縦走路を一旦離れて北鎮岳山頂へひと登り。北鎮岳山頂からは遠くトムラウシ山まで見ることができた。そのまま進むと比布岳から愛山渓温泉へ下る道となり、女性3人パーティが入っていった。

 元の縦走路に戻り、展望台で御鉢平と別れると、最大のお楽しみの雲ノ平へと入る。高原はとにかく展望が広々している。ウラシマツツジとハイマツに覆われて色鮮やか、イワギキョウなど高山植物も豊富だ。赤石川がゆったり流れ、取り囲むように聳える北鎮岳、凌雲岳、間宮岳、白雲岳、黒岳、そして奥に最高峰の旭岳。4年前に行った北アルプスの雲ノ平より、さらに広く美しく感動を覚えた。大雪山は日本最大の国立公園であり、そのスケールの大きいことも実感した。それにしてもすばらしい天気で、行きかう登山者の声は弾み、顔もほころんで見える。振り返ると、一面に紅葉した雲ノ平の広大さに改めて感激した。

 縦走路の最後の登りは黒岳である。さすがにここまで来ると登山者の数もぐっと増え、山頂はロープウェイを使って登ってきた人でいっぱいだ。雄大な眺めを改めてゆっくり楽しみ、名残を惜しみながら層雲峡への下山にかかる。下山路はダイセツトリカブト、エゾオヤマリンドウやカラマツソウなどが咲き乱れていた。層雲峡着14:10で、旭岳温泉から8時間のかなり速い歩行であった。一人の山行だと、どうしても速行になってしまうようだ。

紅葉の大雪山の美しい写真を、たくさん撮った。その一つを次に紹介するが、美しい紅葉もレポートでは残念ながら白黒。多くの記録写真が原色で、次のURLにあるのでまた見ていただくと嬉しい。

http://www.matsue-ct.jp/home/fujii/mount/

(タイム)旭岳山麓駅6:00−姿見池6:457:008合目7:35−旭岳山頂8:0515−間宮岳9:0010−北鎮岳分岐10:00−北鎮岳10:2030−御鉢平展望台11:0520−黒岳石室12:0010−黒岳10:3050−リフト駅13:40−層雲峡14:10