讃岐富士(飯野山)

 

2年前に丸亀を訪れ丸亀城の石垣から、秀麗な富士山型の山が目に焼きついた。讃岐富士と言われるこの飯野山へいつか登りたいと思っていたが、この3月上旬に登る機会を得た。

この日の朝、山陰は雪がちらついていたが、瀬戸内は良い天気だ。丸亀駅を降りたのは1310分、バス停を探すと高速バス乗り場の脇にコミュニティバスの立て札があった。他に路線バスらしきものはない。飯野山登山口を通る時刻をさがすと、1時間に1本の割合で次は14:05までない。駅の待合所に戻って時間を待つ。小型バスに乗ると、いきなり山とは逆の丸亀港に向かう。やっと山へ向かう頃には乗客はほとんど降りて数人となった。約20分で登山口のバス停に着き降りる。

標識らしき物はなく、とりあえず山へ向かって進み高速道路をくぐる。その先に初めて道案内の看板が見えた。案内に沿ってしばらく車道を登っていく。左に伊勢神社を見ながら進むと人家はなくなり、山道らしくなってくる。道はループ状に山腹を旋回しながらついている。以前に登った九州の開聞岳に似ている。違うといえば下に見える風景。開聞岳は太平洋の沖に屋久島を見ながら旋回し、池田湖から鹿児島湾の奥に櫻島を眺める大自然の眺めだった。この讃岐富士は真下に高速の高松自動車道と町並みが続き、遠くに瀬戸内海と瀬戸大橋を眺める、文明社会の風景である。山腹を半周し、約1時間で「新日本百名山」の石碑の立つ山頂に着いた。山頂直下の展望台には「おじょも(巨人)の足跡」などの巨石群が古代の謎を秘めていた。

途中で多くの登山者に出会った。高さは422mで日頃の散歩コースといった感じの地元の人が多いようだ。作業着で仕事から抜けて来た様な人、ジャージの若い女性、夫婦連れ、子供連れなどいろいろ。皆が必ず挨拶を交わし気持ちが良かった。

再びバス停に下ったのは1625分。丸亀駅に向かって再びコミュニティバスに乗った。ところがこれが大変。丸亀市の隅から隅までくまなく周り、1時間以上の大旅行となった。駅は後ろに見えているのにどんどん遠ざかり、地元の老人ホーム、体育館、ショッピングセンターなどを巡回していく。乗降客はほとんどないのに、ひたすら町の隅々まで回る。いつ駅につくかわからない果てのない旅に、もうどうにでもなれと言った心境だ。乗って1時間超、やっと駅へ着いた。料金は200円乗り放題であるが、丸亀のコミュニティバスには気をつけたほうが良い。すっかり丸亀市の通になってしまった。